個人事業者としての行政書士登録のメリット
○個人事業者として開業するために必要なこと
そもそも「何をやりたいのか」を決めなければなりません。法人の場合は「定款」の中に業務を定め、その範囲内で業として行為できることになります。
個人事業者は自然人ですので、民法上の行為をするのには法人と異なり許認可・登録が必要な業以外は、自由に行える、となっていますが、さすがにそれでは他の人を納得して、開業届などを提出することはできません。
また、ある程度の資金を使って業を行うための経営資源を購入または雇用しなければなりません。このため、金融機関などからの融資を受けるとなると、事業プランを作っておく必要があります。
http://www.kigyounavi.com/jigyoplan.html
これを元に、まずやりたいことを決め、一人で雇用することなく、かつ融資を受けず、法人化することがなければ、税務署への開業届だけで開業できちゃいます。
法人になると、法人の登記とそのための定款の公証役場での認証が必要になります。当然手数料もそこそこかかります。申請後1か月くらい登記まで時間がかかります。
(この辺は、法務局絡みなので司法書士が行うような感じですが、行政書士でもできるらしいです)
http://www.kigyounavi.com/hojinkiso.html
雇用するとなると、税務署・労働基準監督署・ハローワーク(公共職業安定所)・日本年金機構・地方税務事務所への届出が必要になります。
(この辺の対応は、社会保険労務士のお仕事ということになります)
http://www.kigyounavi.com/kojinjyugyoin.html
○果たして、メリットがあるのか?
行政書士の登録の手続きでは、いわゆる法人の登記に当たるようなことを実施しているんです。
「職印登録」とか「本人確認・身分確認」とか「事務所の設定・要件に沿ったものかの確認」など。
机や事務作業や接待ができる環境(経営資源)にあるかを図で確認しますし、必要に応じて登録前に実地確認するとのこと。
申請書には明記する必要はないですが、事務機器・書棚や鍵のある書類入れ、電話・ファックス・コピー機か複合プリンター、パソコンにハンコ・筆記用具、書類の書式ファイルなどなど。必要そうなものはだいたい分かります。
(ご親切に開業マニュアルなるものが数万円程度で売っているらしいですが、常識的に分かるので、必要無いと思うんですが)
資本金は必要としません。個人事業者なので。
行政書士法による法人化(外形的には合名会社らしい)もできますし、その法人に雇用または経営に関わる社員として参画することもできます。
形式的に別の法人を設立して、そこに雇用される形で別個に行政書士法人を作るというのも、一つの手法かもしれません。
(税法上などメリットがありそうです。他の士業でも多数の雇用をする場合は、良くやっているようです)
考えてみると、約30万円程度の登録にかかる費用を支払うんですが、あともろもろの事務所開設の費用をかければ、いわゆるフォーマット通りに出来ているということで、事業が行える環境が整うわけです。
事務所を賃貸すれば、月々の支払いが発生しますし、会費も3か月ごとに支払わなければなりません。でも、後は事務消耗品を購入するくらいで、それほど維持費用が発生しません。
あと、青色申告をすれば、かかった費用を損金として3年間繰り延べできるし、控除額も個人よりも増えます。(そりゃ、帳簿をつけなきゃいけないけど)
結局、行政書士会の斡旋で購入した以外の事務機器などは、30万円もかかっていないはず。実家に置いていたり、自分でずいぶん以前から購入していたものも使っているので、直近の支出は10万円もかかっていません。(個人的に、その手の事務用品を購入していたのが役に立っているからなんですけど)
まあ、業務がある意味明確なので、それほど初期費用がかからない方ではないかと。手続きもかなり明確で、ノウハウ本もいらないくらい。
○とりあえず、個人事業者っぽいこと
開業届を提出して以降は、勤務先「行政書士事務所」として、無職でなく諸届けに書けます。
さすがに無職だと申し込みすらできないクレジットカードも作ることができる…かどうかは、今のところ分からないです。(直近いくつか出していますが)
少なくとも、現有のクレジットカードの勤務先変更をしましたが、利用可能金額とかの変更は今のところ無いです。
形式的には事業主ですから、通常法人でないと加入できない会の会員にもなることができます。たとえば商工会議所会員、とか。
別に個人であれば銀行口座開設はできます。いろいろな費用の決済のため、これまでの銀行以外にも口座開設する必要が出てきました。それでも、あえて商号(行政書士○○事務所)を使わなければならない、ということはないです。(そもそも、個人事業者の商号・屋号による銀行口座開設はダメっぽいところが多いらしい)
逆に、通常の法人のような登記はしていないのですが、税務署への開業届には業務については「行政書士」と、商号も行政書士○○事務所で問題なくサクッとできたので、官公庁への届出では、これでもめ事無く対応できるんだなぁ…と思ったのでした。
ちなみに、まだ仕事らしい依頼どころか、開業すると一般的には来るらしい、物品購入や勧誘などすらありませんね。確か、1月にとある加除式の法文集の出版社からの留守電があったけど、それくらいしかない。(そもそも、玄関先にしか看板はないので、道路沿いから認識できないし、行政書士会の検索をしない限り、事務所の電話番号も分からないから)
2016年2月17日初出
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